
2009年8月24日の思い出
いままではっきりと見えていた遠くの山が急に霞んで見えなくなって、
いままで鳴いていた蝉の声も聞こえなくなったかと思うと、
冷たい風とともに、大粒の雨が音をたてて近づいてきた。
「あっ」と思ったときには、僕も雨の中で、
多くの虫たちが葡萄の葉の裏に隠れてそうしているように、
僕も家に戻ろうと思ったけれど、ここは畑のちょうど真ん中。
思い出したように上着のフードをかぶり走り出す。
フードを叩く雨の音がいつかどこかで聴いたような気がして、
この音はなんだったかなと考えて、
ああ、収穫したじゃがいもを倉庫に広げたときの音だなんて気がついた頃には、
もう走っても仕方がないくらいに濡れてしまった。
のんびり雨に打たれながら歩いていると、
急にフードをたたく音が静まり、辺りを見渡して気がついた。
ここが雨の境目、地面も濡れていない。
丘の上にあるワイナリーに行き、あらためて辺りを見てみると、
いままで夏の日差しに暖められていたアスファルトからは湯気があがり、
じゃり道では地面が雨に強く叩かれて小さな石の一つ一つがくっきりと見える。
雨があがったあとは本当に色に力がついてきれいになるなと気がついた写真。
それでも、できれば雨の降っていないところにいたかったなと思った、2009年8月24日の写真。
山﨑太地
